水溜まりの底

それは確かに枯れたカラスの乾いた記憶だった。―無名の手記―

東京に住んでた時、宗教勧誘のオバチャンが家に来た話  

「貴方、神様の存在は信じるかしら?」「居たらとても面白いと思うのですが、僕には判断出来ないですね」


東京に住んでいた頃、変な宗教の勧誘にオバチャンがやって来た事がある。玄関先だった事もあり、俺は何となしにその話を聞いていた。自己紹介を終えたおばちゃん。俺に対し、あなたは神様の存在を信じるかと聞いて来た。
俺は「(あー、変な人が来ちゃったなー)」とか思いつつも、丁度その時期考えていた俺なりの人の生死と神の存在についての仮説を披露してみることにした。どうせ誰も聞いてくれるような人は居ないわけだし。ならお仕事熱心なオバチャンに問答無用で聞かせて反応を見てみたかったのもある。
俺が答えたのはこんな感じの話だった。

「あー、居たらとても面白いと思うのですが、僕には判断出来ないですね。この世界は科学で色んな事が証明されてしまった時代なので、そう言った神秘的な話の実証は更に難しくなってしまったというか、これはもう人間の住む次元の中だけでは限度がある……いや、無理といった方が良いんじゃ無いかって思うんです。それこそ人間を辞めでもしない限りは。」

①この宇宙空間は神様が作ったモノである。
②人は死んだら天国地獄へ行くと言うが、俺はそれも実在すると思う。
③例えば天国。それは宇宙空間のこと。宇宙は生物が生きてはいけない死の空間であり、宇宙誕生から何十億年の歴史の中で死んでいったあらゆる魂を格納出来る場所はここしか無い。むしろ、宇宙空間という空間そのものが生命の魂で構成されていると言っても過言では無いだろう。光の速さで膨張する宇宙とはすなわち、この宇宙空間でこの宇宙空間を構成するための命が、それだけ多く失われている事の証明にならないだろうか?
④例えば地獄。それは宇宙空間に存在する数ある惑星。地獄とは地下の監獄。地獄に落ちる魂はその惑星の引力に引かれて地中を潜りその核へと至り、その超高温で焼かれていくのではないか。地獄からの救済?そんなものはある筈が無い。地獄に落ちた魂は焼かれて滅んで消滅するしか無いだろう。
⑤この宇宙空間は神様のフラスコだ。実験場ではないか。神様はこの宇宙で起きることを観察し、観測し、見てはいるが、だからと言って「人間」なんていう”資源”に目もくれることは無いだろう。……いや、昔は違ったのかも知れない。神様は人間という知性を持った生物に対して興味を持ち、人間に干渉し、働きかけて進化を促した事は会ったかも知れない。だけど、そう考えると神様からすれば人間もただの実験動物に過ぎない。つまり、神様は人間のことを自分の子供なんかではなく、唯のモルモットとしか思っていないんじゃないか?俺はそう思う。

とまあ、ザックリとこんな感じの話を約1時間くらいかけて語ってみた。オバチャンは引きつった笑顔で「あ、あらそう?確かにそう言った考え方もあるかも知れないわねぇ。でももう少しよく考えてみて?――」と今度はオバチャンのトークフェイズ。ぶっちゃけ全く覚えていないというか、よくある神様は人類を愛してくださっているというご都合主義な話だった気がする。
そんなかんなで楽しい楽しい神様談話は終了したわけだが。俺はその時の妄想をはき出せてそれなりに満足してその日は寝た。

そして数日後。
例のオバチャンは隔週くらいの感覚で我が家を訪れるようになったという。(無視してたら来なくなった)
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